交通事故に逢った場合

弁護士が教える交通事故のポイント

1 まずは負傷者の救護
交通事故に遭ってしまいました。意識がはっきりしないような状態であれば、ご自身ができることもありませんので、相手の方若しくは周囲の方に救急車を呼んでもらって搬送してもらうことになるでしょう。なお、救急搬送時の記録は、後々開示してもらうことができます。
 
相手の方の被害が大きく、怪我をしているようでしたら、事故の発生原因に関わりなくあなたが救急車を呼びましょう。自動車を運転していて事故を起こし、相手に怪我を負わせ、相手の救護もせず逃げた場合(ひき逃げ)、過失運転致死傷罪(法定刑7年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金)と救護義務違反・報告義務違反(同10年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金)に問われる可能性があります。相手の怪我の程度により罰金では済まない可能性がありますし、行政処分(救護義務違反だけでも35点)もありますので、絶対にやめましょう。

2 警察、双方保険会社への連絡
警察へもすぐに連絡して来てもらいましょう。(自分で連絡できない場合は連絡してもらいましょう。)怪我が軽い場合、相手から人損扱いにしないでほしいと言ってきたり、物損事故で済ませると事件処理が簡単なため、警察官からも人損事故扱いを嫌がられたりする場合さえありますが、後々泣くのは被害者ですので、きちんと人損事故扱いにしてもらいましょう。もし、事故当初人損扱いになっていなくても、翌日から痛みが出てくるなどして病院を受診し、事故との因果関係を証明する診断書を書いて頂き担当の警察署に提出するなどして、人損事故扱いにしてもらいましょう。
 
相手の保険会社に連絡してもらい、相手の保険会社と連絡を取るのは勿論ですが、被害者も自分の保険会社に連絡しましょう。人身傷害保険や、搭乗者傷害保険に加入している場合など、自分の保険会社からも保険金が出る可能性があります。
 
自分が怪我をしていても、自分の過失割合が一定以上ある場合は、相手の保険会社から治療費の一括支払対応を拒否される場合があります。そのような場合、総損害が自賠責の傷害部分の限度額の120万を超えるような場合、治療費分についても過失相殺の対象となってしまいますので、ご自身の健康保険を使って通院しましょう。特に、相手が任意保険未加入で、自賠責しかない場合は自賠責保険金が治療費でほとんど使用され、傷害部分の保険金が被害者の手元には来ないということにもなりますので、健康保険を使用された方が良いです。このような違いがあるのは、医療機関が任意保険会社に請求するときは、保険診療(1点10円)ではなく、自由診療(1点12円~20円程度)の金額を請求されているからです。また、自分の人身傷害保険を使用すれば自己負担しなくても済みますが、やはり健康保険を使用してくださいと言われることもあります。

3 治療中

治療中は、医師の指示に従って治療に励みましょう。健康な体はお金では買えませんから、事故による後遺障害が残らず、治療で治ってしまうのが一番の理想です。そのためにも、仕事が忙しくて、きつくても病院に行く暇がないと言わず、必要な通院はしてください。事故のため会社を休んだ場合(有給を使った場合も含む)は、休業損害の請求が可能です。相手の保険会社から休業損害請求書類を送ってもらい、勤務先に証明書を書いてもらってください。また、主婦の方でも、通常は治療終了後(症状固定後)に休業損害を請求できます。脳損傷などを受け重篤な状態が続いている、医師から付添いを要請されている、小学生以下のお子さんが被害者であるというような場合、実際に付き添われたご家族の入院付添費用が請求できる場合があります。そのような場合、入院付添のため仕事を休まれた場合には、その分の休業損害も請求できます。
 
車両損害などの物損は、人損があっても通常事故後1~2か月以内に先に解決することが多いです。修理期間又は全損扱いとなった場合次の車を購入するまでの間相当期間について、車を使用する必要があれば代車も認められます。登録年数が比較的新しいものを中心に、修理費用の10%~30%相当額の評価損も認められるようになってきています。

4 症状固定
治療開始から一定期間経過し、医学的にみて、症状がなくなったか(治癒)、治療効果が期待できなくなった段階で、「症状固定」となります。この症状固定の時点が、損害賠償請求のさまざまな基準時となります。加害者に対する損害賠償請求権の時効の起算日も、通常は事故時ですが、後遺障害が残った場合は症状固定時となります。比較的重い後遺障害が残った場合は、症状固定の時期が後々争いになることは多くないですが、頸椎捻挫、腰椎捻挫等のいわゆるムチウチ損傷の場合、相手の保険会社が、事故後3か月~6か月程度を目途に症状固定であるとして治療費の一括支払対応を打ち切ると主張してきます。その時点で症状が軽快していれば治療を終了しても問題ないでしょうが、症状がまだまだ残っている場合、すぐに症状固定とするのではなく、自分の健康保険で引き続き通院することも考えなくてはいけません。症状固定は医師が判断するものであり、保険会社が決定するものではありません。医師と相談し、十分な治療をした上で症状固定とするようにしましょう。
 
症状固定になり、後遺障害が残っている場合には、主治医に後遺障害診断書を書いて頂くように丁重にお願いしましょう。

5 示談交渉
症状固定若しくは治療終了した後は、損害賠償請求手続に入ります。後遺障害が残った場合は、自賠責保険の被害者請求若しくは相手の保険会社を通じた事前認定手続により後遺障害等級の認定が行われます。その上で、相手の保険会社から賠償額の呈示があります。損害賠償項目は事故のため支払った(将来支払わなければならなくなった)費用(積極損害)、事故によって得られた(将来得られたはず)の利益(消極損害)、慰謝料に大別されます。損害賠償額算定には一応の基準があり、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年発行している損害賠償額算定基準(赤い本)などの裁判基準、任意保険会社の内部基準である任意保険基準、自賠責保険の自賠責基準があります。後遺障害がない(非該当)と判断された場合には、異議申立を検討し、異議申立をせず受け入れる場合は、相手の保険会社から積極損害、消極損害の各項目、未払治療費、通院交通費、入院雑費、診断書料、休業損害、入通院慰謝料などについて損害賠償の呈示を受けることになります。
 
事前認定若しくは被害者請求の結果、後遺障害が認定された場合、後遺障害別等級表に対応する慰謝料、事故による後遺障害のため失った収入(逸失利益)に対する損害賠償請求が認められます。

6 弁護士に依頼するには
最近、弁護士費用特約の普及もあり、交通事故の賠償請求を弁護士に依頼する方も多くなってきています。どの段階で弁護士に相談に行けば良いかというご相談をお受けしますが、当事務所では、事故後早めに相談にお越しくださいとお答えしています。示談が成立してからでは示談を覆すことは難しいですので、最も遅いタイミングは相手方保険会社からの賠償額提示後ということになります。また、不幸にして事故によりご家族がお亡くなりなられた場合は、ご遺族の気持ちの整理がついてから、故人の生活を一番よく見ておられた方を中心に、ご相談にいらしてください。事故状況などの必要資料収集手続から弁護士に依頼して行うことができます。
 
事故後比較的早い段階で相談に来られた場合、まずはしっかり治療をしてくださいと申し上げますが、現状の治療方針について弁護士が聞き取り、確認することができます。また、現在の症状から他診療科の受診が必要と思われる場合は、主治医に的確に症状を説明して紹介して頂くようにします。この段階で弁護士に依頼された場合、弁護士が保険会社の担当者との交渉窓口になりますので、煩わしい交渉をしなくても済むようになります。また、事故状況を聞き取り、過失割合の争点について予想することができます。また、相手方及びご自身、ご家族の自動車保険の加入状況について伺います。相手方が任意保険に加入しているか、自賠責保険だけなのか、無保険なのかなど相手方の加入状況も大事ですが、ご自身やご家族が加入の搭乗者傷害保険、人身傷害保険、場合によっては個人賠償保険についてもよく確認することが大事です。ご相談にいらっしゃる場合には、保険の内容が分かるものをお持ち下さい。これらの保険の使用方法については専門的知識が必要なこともあるのでよくご相談ください。
 
治療が終了し、症状固定となった場合には、主治医に後遺障害診断書を書いて頂く前にご相談いただくと診断書を書いて頂く前に必要な検査などをやっていただくよう併せてお願いすることができます。後遺障害によっては、医師記録、CT、MRIなどの脳画像検査記録を取り寄せ、診断書、診療報酬明細書などを検討し、刑事事件の記録の謄写の手続をするなどして、事故状況、治療状況、後遺障害の状況などを把握します。弁護士に被害者請求手続をご依頼いただいた場合、必要な証拠収集、基礎資料の収集を代理人として行い、ご本人のお話を聞き取り、文書にして被害者請求必要書類とともに提出することもあります。また、事前認定手続や被害者請求などをご自身で行い、認定された等級に納得できない(非該当の結果に納得できない)場合は、異議申し立て手続を依頼することができます。このような場合、異議申し立ての見通しを可能な範囲で申し上げますが、異議申し立て手続きを行っても可能性が低いと思われる場合は、その旨ご説明して、当該等級を前提として請求手続に移ることをお勧めすることもあります。
 
治療終了若しくは後遺障害認定後、示談提示前にご相談いただき、ご依頼いただいた場合、弁護士が裁判基準で計算し、相手方の保険会社に賠償額を提示することができます。この提示は基準本を開けばすぐに計算できるような単純な話ではありません。必要書類を取り寄せ、被害者(又はご家族)のお話をよく伺った上で慎重な検討が必要です。弁護士が依頼して賠償額を提示する場合は裁判基準で計算します。被害者ご本人の場合、相手方保険会社はそれよりも低い任意保険基準若しくは自賠責基準の高い方で計算してきます。弁護士特約がある場合は損害賠償額が2000万円以上になるなど重大な後遺障害が残る事案でない限り、300万円までの弁護士報酬が保険金で支払われますので、手出しなしで賠償額増額を獲得できます。弁護士報酬が300万円を超えるような事故の場合、その差額を受けた賠償金からご負担頂いていますが(着手金だけで300万円を超える件はほとんどありません)、裁判基準と任意保険基準などの基準の差額も大きくなるので、通常弁護士に依頼した方が最終的な賠償額が多くなります。物損のみの場合や、治療期間が短く、治療終了した場合などでは、弁護士に依頼しても費用倒れになることがあります。そのような場合はご依頼を受けてもメリットがありませんので、提示の内容説明やご本人で増額交渉が可能な事項はないかなど必要なアドバイスを差し上げて相談だけで終了とさせていただきます。
 
相手方保険会社からの示談提示後にご相談いただいても実際に示談書を取り交わす前であれば弁護士に依頼し、賠償項目を見直し、裁判基準で計算しなおして弁護士から賠償額の提示をすることができます。既に示談提示があっている場合、異議申立手続の依頼を受ける場合を除き、示談提示額と賠償提示額の差額を着手金計算の基準とし、提示額と実際の示談額の差額を報酬計算の基準とさせて頂き、弁護士に依頼して損になるということがないように致します。また、多くの場合はこの段階で依頼しても手取りは増えますが、弁護士に依頼してもさほど増えないと思われる場合は、提示の内容説明やご本人の増額交渉のアドバイスをさせて頂きご相談で終了することもあります。
 
示談前に弁護士にご相談、ご依頼いただいた段階で、被害者ご本人にも過失があり、人身傷害保険に加入されている場合は、示談前に人身傷害保険の使用を検討しなければなりません。人身傷害保険は被害者の過失に関わりなく、支払限度額の範囲内で任意保険基準の賠償額が支払われる保険ですが、示談交渉で人傷保険金と損害賠償金のどちらを先に受け取るかで、受取額が変わります。人身傷害保険により、全額受取となるか自己過失分受取が可能かも異なります。自動車搭乗中の事故だけでなく、歩行中の事故やご家族の保険の使用も可能な場合がありますので、被保険者の範囲についても確認が必要です。
 
弁護士に依頼し、相手方の保険会社の最終的な示談額が提示された場合、これを受け入れたほうが良いかどうかの判断材料についても、ご本人にご説明させていただきます。示談段階ではどうしても基準通りに傾きがちであり、裁判をしないと思うような賠償が得られないと思われる場合もあります。裁判沙汰というと抵抗を感じますが、実質的な相手方は保険会社であり、正当な賠償額を求めて裁判する場合ですので、純粋に私人間で揉めて裁判になる場合より心理的な抵抗も少ないでしょう。一般的に、示談段階では裁判では認められる損害額の1割相当額の弁護士費用や事故日からの遅延損害金(現在法定利息は5%)は認められないので、単純計算をすると最大15%ほど増額の可能性があります。ただし、弁護士費用特約に加入していない場合は、印紙代(訴額1000万円で5万円程)、郵券代(6000円程)の負担の自己負担も必要となってきますし、相手方弁護士が別の観点から厳しい反論をしてくることが予想される論点をはらんでいる場合などは、示談で終わらせることをお勧めすることもあります。

7 当事務所の弁護士費用
 (1)相談料
弁護士費用特約より頂きます。1時間1万円(税抜)です。
特約未加入の場合でも、引き続きご依頼いただいた場合の相談料は無料です。また、2回目相談以降にご依頼を受けた場合、それまでの相談料は着手金から控除します。
 (2)着手金
示談呈示前の交渉着手金は暫定額として10万円(税抜)とさせて頂きます。賠償提示額が確定した場合、通常の民事事件に準じた着手金を差額として頂きます。
例えば、請求額250万円の場合、250×8%=20万円となるので、差額は10万円となります。
 (3)被害者請求・異議申立
自賠責の被害者請求、異議申立を行った場合、その分の着手金は無料ですが、保険金額の2~5%を報酬として頂きます。
 (4)人身傷害保険
人身傷害保険金の請求手続を行った場合、過失分の保険金額の5%を報酬として頂きます。
 (5)報酬
示談提示前にご依頼を受けた場合、解決金額(示談金額、裁判和解金額、判決金額)を依頼者が受ける経済的利益とし、民事事件の報酬体系と同様の報酬金を頂きます。
示談提示後にご依頼いただいた場合、示談提示額と請求金額の差額から着手金額を計算し、示談提示額と解決金額の差額から報酬金を計算します。

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